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2010年2月22日 (月)

またもやリンチの関連本のハナシ……なんだけど、なんだ、こりゃ?

えー、リンチの新しい関連本の案内メールが米Amazonから届きまして、要するに「アンタ、以前に『Airs on Fire』とか買ったっしょ? こんな本もあるんだけど、買う?(てか、買え)」(大幅に意訳)とゆーヤツですね。

Alphascript 今回オススメいただいたのは(笑)、「David Lynch: Film director, Visual arts, Academy Award, Academy Award for Best Director, The Elephant Man (film), Blue Velvet (film), Mulholland Drive ... Festival, Venice Film Festival, Surrealism」というクソ長たらしいっつーか、早口言葉みたいっつーか、寿限無っつーかなタイトルの本なのだけど、これがまた192ページで$78とエラク値段が高い。

いや、まあ、学術書だとこの値段もあるかなあ……と思いつつ、念のために幾ばくかでも内容を知りたくて出版元であるAlphascript Publishingの公式サイトをみてみたら……あらあらあら(笑)。

要するに、この出版社、Wikipediaの記事をそのまんま使って本を出すという商売をしているところなんでありますね。とりあえずこれがわかった時点で、大山崎は購入しないことに決定。「全部web経由でタダで読めるんじゃん」というのはともかく、内容に関する正確性の問題から「校閲等の典拠として、Wikipediaの記述は使わない(使えない)」というのは、出版に関わる者なら常識なんであります。

で、この時点で、大山崎の関心は、本ではなくてAlphascript Publishingという出版社そのものに完全移行(笑)。いろんなショーバイを思いつくなあ、でもこれって違法性はないのかなあ? と思ってネットの海を漂ってみたら、まずAlphascript Publishingのサイトに、英新聞Guardianに掲載された記者会見の記事があるのをみっけ。

「Alphascript Publishingが出す本は、すべてWikipediaの記事をもとにしているのか?」という質問には「イエス」。「だとしたら、なんか断り書きがあってもいいんじゃないスか?」という質問には、「じゃあ、他社の本も『この本には馬鹿げたことが書かれています(Attention! Book contains nonsense!)』とか『この本には性的な話しか書かれていません(Attention! Book has only sex-scenario!)』とか断らなきゃならないのか?」と完全に開き直ってます……が、米Amazonに掲載されているリンチ本の表紙写真をみた限りでは「High Quality Content by WIKIPEDIA articles!」と書かれておりますね。やっぱ、読者からクレームが相次いで、初志貫徹は難しかったんでしょうか。

いうまでもなく、記者会見でも「読者から文句がきたらどーすんの?」と突っ込まれてるわけですが、それには「もちろんネット経由で全部タダで読めるわけだが、特定の題材に関しては書籍の形で買っておきたいこともある。状況にもよるが、記述追加もできない去年出た本を買うのではなく、Alphascript Publishingの本を買えば最新の情報が手に入るのだから。我々が生きている時代は、時間の流れが早いのだ」とか答えてます……いや、にしても、どういう「状況による」んだかどうにも考えつかないんですけんども、ネットはおろか電気もない絶海の孤島に行く方とか、「PC使っちゃいけない教の信者」とかの、完全デジタル・デバイドな方むけなんですかね?

「これは、書籍の形態をとったインターネットなのだ」ともおっしゃってますが、うーん、正直なところ、大山崎には「情報の不正確性」というネット・ベースのデメリットと、「出版スピードの遅延」「流通コストの発生」という紙ベースのデメリットの両方を兼ね備えたビジネス・モデルにしかみえませんが、さて、どーしたもんでしょう(笑)。

次いで、Alphascript Publishingの親会社であるVDM groupのサイトには、CEOであるPhilipp Muller氏に対するインタビューがみつかりました(現在は削除されているようで、Googleの「クィックビュー」からしか読めません)。「Alphascript Publishingが、Wikipediaの記述を無断で書籍化することについての合法性」を問われたMuller氏は、以下のように答えています。「同じ質問をGoogleにもしたのか? 彼らは何年にもわたって、著作権に守られた著作物をスキャンしてきた。そして、Googleは著者や出版社の許可なしにそれらの書籍を売っている。これは違法であるばかりではなく、剽窃だ。で、まさに彼らはトラブルに巻き込まれようとしているわけだ。AlphascriptとFastBookはそれとまったく異なり、最初から出版することが可能な著作物を本にしている。インターネット上にはいわゆる『コピーレフト(copyleft)』の著作物があって、誰もが自由に利用できる。ということは、明らかにそれを商用利用する許可も与えられているわけだ。我々が行っているのは、まさにそれなのだ。これまでになかったことではあるかもしれないが、合法だ」

この主張が、Wikipediaが採用している「GFDL(GNU Free Documentation License)」の条件に適合しているのかどうか、ちょっとにわかには判断がつきません。確かにGFDLでは基本的に商用利用も認められています。が、それは「当該領域の学術的発展」や「知的情報の共有」を前提にした話であるはずです。さて、Alphascript Publishingのケースが本当にそれに該当するのかどうか。

それはそうと、Alphascript Publishingの会社所在地はモーリシャス共和国なんすね。おそらく人件費の安いアフリカで製作の実作業を行っているんだと思いますが、それにしちゃ、このお値段はどーゆーことだ?(笑) ネット上ではもちろん「いいのか、これ?」という質問や議論も発生している様子です。あの長ったらしい書名は、「インターネット検索で引っ掛かりやすいようにしているのだ」という説もありますが、むしろ今回のメールのように、「Amazon等の『リコメンド・システム』に引っ掛かりやすいように」という手法であるのかもしれません。で、その企業努力の成果として(笑)、米Amazonや日Amazonだけではなく、日本の某書店のサイトで検索しても大量にAlphascript Publishing社刊行の本が引っ掛かってきますね(まったく引っ掛からない書店サイトもありますが、意識的にAlphascript Publishing社の本を排除しているのかどうかはわかりません)。うーん……昨今巷でかびすましい「電子書籍」への流れを考えたとき、なんかヤバいものを感じるのは大山崎だけでしょーか?

笑えたのは、元祖Wikipediaにある「Alphascript Publishing」の項目で、「グルジア(Georgia)共和国」に関する本のカバーに「アメリカ合衆国ジョージア(Georgia)州」の写真が使われている本とか、アメリカン・フットボールのチームに関する本のカバーに「サッカー選手」の写真が使われている本とかの例が記載されています。まあ、この、Wikipediaの記事を書いている著作者側がAlphascript Publishingに対してどのよーな感情をもっているかは想像が付くし、現物を見ていないんでナントモなんですが、なーんか「校正やら校閲やら、一切されていないのかも」という危惧を抱くのは大山崎だけでしょうか。いや、あるいは「爆笑本」としてはすっごく優秀なのかもしれませんが(笑)、騙されたと思って試しに買うにはこの値段はちょっと。10ドルぐらいなら話のタネに買っちゃうのになあ、惜しいなあ(笑)。

今回のリンチ関連本に関しても、リンチ本人や映画会社を含めた関係各所になーんもアプルーバルをとっていないことは、容易に想像がつきます。ってえことは、当然ながら本人の写真や映画のスチルを含めた図版類は一切ないんでしょうね。ならば、いっそカバーにヴァージニア州リンチバーグ(Lynchburg)の風景写真なんか使っていただけてたら一層おシャレだったんですが、実際はご覧のようなの感じで、これまた非常に惜しいところであります(笑)。

Crimzontide PS. カバー、みっけ(笑)。 アラバマ大学のアメフト・チーム「クリムゾンタイド」の本なのに、躊躇なくサッカー・ボールをば蹴飛ばしとりますなあ(笑)。写真使用の許可がとれなかったんだろうけど、いくらなんでもこれはないんではないだろーか。大学関係者や同校出身者は怒ってるかも。

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