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2009年10月18日 (日)

「ロスト・ハイウェイ」を観た (61)

色んな負け方があるとは思っていたものの、また器用な負け方をしやがりましたな>わしんとん でもNFL第5週の「ザ・ベスト・オブ・泥仕合」には、ぜひクリーブランド@バッファローを挙げておきたいと思います。だって1st&10からの「QBスニーク」なんて、滅多に見られるもんじゃありませんぜ、ダンナ。いやあ、長生きはするもんだ(笑)。

アメフト話はさておき、「ロスト・ハイウェイ」における「イメージの連鎖」について。今回は「アンディの屋敷」の内部のシークエンスの第三回目、タイム・チャートでいうところの(1:42:46)から(1:43:15)まで。

アンディの屋敷 内部 夜 (1:42:46)
(11)ピートのアップ。立ち止まり、口を開けたままスクリーンに映された映像を見ているピート。
[ドアが閉まる音]
音に驚き、背後を振り返るピート。キッチンのカウンターの上に置かれた置物を認め、慌ててカウンター・キッチンの裏に走る。それを追って左へ、次に右へパン。カウンター・キッチンの向こうには、ガラスがはまった木の扉の戸棚が並んでいるのが見える。
(12)ピートのアップ。カウンターの上に置かれていた黒い置物を左手で取り、身を屈めてカウンターの陰に隠れるピート。それを追って下方にパン。カウンター裏側は棚になっている。置物を両手で握りしめ、気配をうかがうピート。
(13)ミドル・ショット。二階に続く階段。パンツだけの裸に黒いシャツをひっかけただけのアンディが、右側の階段から階下に降りてくる。両手には、空になったグラスを持っている。彼を追って、下方にパン。そのまま彼は画面手前に向かって歩き続け、カウンターに向かう。それを追いかけて、左へパン。カウンターの前に立つ彼の左側面からのアップになって終わる。両手のグラスをカウンターに置くアンディ。
[グラスがカウンターに置かれる音]
(14)ピートのアップ。カウンターの裏側。急な動作で立ち上がるピート。
(15)ミドル・ショット。アンディの左斜め後ろからのショット。立ち上がったピートが、カウンター越しに右手に持った置物でアンディの頭部を殴りつける。
[衝撃音]
画面外、下方に崩れ落ちるアンディ。置物を持ったまま、急いで画面左に走るピート。それを追って左へパン。置物を右手に握ったまま、カウンターから出てアンディを見るピート。
(16)ピートのアップ。彼の左斜め前からのショット。息を切らして画面左方向に移動しながら、画面外の床の上に倒れているアンディの様子をうかがうピート。それを追って左へパン。彼の背後には、スクリーンに映され続けている映像がアウト・フォーカスで見える。
(17)アンディのアップ。ピートの主観ショット。黒い床の絨毯の上に、頭を画面下方に向け、目をつぶって横たわっているアンディのバスト・ショット。左のこめかみからは、血が流れている。
(18)ピートのアップ。首をやや右にかしげ、アンディのほうを見下ろしている。彼の背後では、スクリーンに投影されている女性のアップがアウト・フォーカスで見えている。大きな溜め息をつくピート。気配を感じて、視線を上げるピート。

このシークエンスではピートがアンディに対して凶行を働く様子が具体的映像(カット(11)ー(15))として描かれるが、「バスによる移動」(1:40:36)や「裏口からの侵入」(1:41:39)と同様、これもまた「アリスの教唆」(1:35:20)を完全に踏襲していることは明白である。あるいは「アリスの教唆」自体が”「フレッドの意識」の「代弁」”である以上、それに沿った形で事象が発生するのは当然のことといえるだろう。だが、そうした「代弁者」を設けるという行為自体が、あるいは「代弁者」が代弁する内容が、(それが意識的にせよ無意識的にせよ)「フレッドの意識」や「感情」を反映していることは何度も指摘してきたとおりだ……そして、ときとしてそれが”隠されていたフレッドの「生の感情」の露呈”であることもあるが、それよりも実にしばしば”彼にとって「都合のいい欺瞞」”であることも。この「アリスの教唆」は後者であり、ピート=フレッドがその「教唆」を遵守することによって手に入れるのは、”犯行を計画した「主犯」は彼女であり、彼はそれに従う「実行犯」(もっといえば「操り人形」)に過ぎない”という「限定された立場」だ。「現実=ミスター・エディ」のイメージに関連する「アンディ」に対してネガティヴな行為を密かに行うとき、こうした「立場」がピート=フレッドにとって「都合のいいもの」であることは間違いない。

興味深いのは、カット(16)およびカット(18)にみられる「映像」……具体的にいえば、両カットをつうじて現れる”前景のピートと、後景としてその背後に映し出されている「ポルノ映画」の映像”という構図だ。たとえば(1:00:23)などの「アーニーの自動車工場」のシークエンスにおいて、「ミスター・エディ」の背後には「外の道路を行き交う自動車」が配置され、彼と「外界」との関連性を強調していた。同様に、カット(16)およびカット(18)の構図が示唆するのも、”ピートと「ポルノ映画」の映像の関連性”であるはずである。

まず、フレッドが(意識的/無意識的に)抱える「代弁者を利用した責任回避への意志」を踏まえたとき、この「関連性」が示唆するのは、前述した”ピートが「アリスの教唆」を遵守して犯行を行っていること”の図式化であるといえる。両カットの「構図」が明示するとおり、たった今ピートが行った「アンディに対する犯罪」の背後には、文字どおり「女の影=アリス」が存在しており、彼の行動を規定している(という「欺瞞」をフレッドは作り上げている)というわけだ。

しかし、より興味深いのは、「女の影=ポルノ映画の映像」がフレッドの「レネエに対する感情/疑惑」を指し示していることを前提として、この「構図」を捉えた場合である。フレッドが「レネエの殺害=レネエに対する犯罪」を引き起こした背後には、彼が抱えていた「レネエに対する感情/疑惑」が存在していることについては以前にも触れた。それに基づくなら、カット(16)および(18)が提示する「構図」(あるいは”ピートと「ポルノ映画」の関連性”)は、そのまま「レネエに対するフレッドの犯罪」の図式とも重なることになる。

いずれにしても、「フレッドのレネエに対する疑惑」があるいは「実体」がないフレッドの思い込みであること、そして「アリス」という存在もまた「優秀なレネエの代替イメージ」である限りにおいて「実体」を持ち得ないことを考えるなら、この二つの抽象概念がともに”スクリーンに投影される「ポルノ映画」の女優”という「実体を持たない映像/虚像」へと仮託されることは、まったく不思議ではない。同時に、その発生の「表層的な機序」こそ異なるものの、その裏に「フレッドの(特定の)女性に対する感情」が存在しているという「図式」において、「フレッドのレネエに対する犯罪」と「ピートのアンディに対する犯罪」はともに共通しているともいえる。

そして、この「共通項」を糊代にして二つの「犯罪」の概念(イメージ)は連鎖し、続くシークエンスにおいて「事態の急変」を引き起こすのである。

(この項、続く)

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