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2008年10月21日 (火)

「Beautiful Dark」を読む (2)

のてのてと読み進めるワタシ(笑)。

あ、書き忘れたけれど、基本的にこの本、リンチの子供時代から始まって、「通年史」的にリンチの作品とその時の周辺情報を追うという構成になっております。どっちかっていうと、「研究本」というよりは「伝記」なのね……と思ったら、Dugpa.com管理人のDugpaさんは最初っから「biography」って言ってますわ。大山崎が勝手に思い込んでただけでした、ごめんなさい。

しかし、粗筋紹介して何やら感想めいた文章をくっつけたようなそこらへんの「研究書」に比べても、リンチ作品に関するテーマ分析とかは、むしろこの本のほうが的確だと思います……とりあえず、読んだ範囲では。というか、ここまで真正面からデイヴィッド・リンチを論じている本は、今まで存在しなかったといっていいのではないかと。その実証主義的な姿勢といい、これまでのリンチ本とはまったくレベルが違うと感じました。もし、この本を買おうかどうか迷っているなら、間違いなく「買い」です。

これだけの本をまとめあげるには、大変な時間と労力がかかったであろうことを考えると、著者のOlson氏には頭が下がる思いであります。もちろんクリス・ロドリー氏のインタビュー本という労作はすでにあるわけだけど、この「Beautiful Dark」とインタビュー本をあわせて読むと、「あ、リンチはそーゆーコトを言いたかったのくわー!」と目からウロコなこと、請け合いであります。これから先、デイヴィッド・リンチについて誰が何を言おうと、この本を読んでないヤツのいうコトはあんまり信用せん……と、個人的には決めました(笑)。

で、やっとフィラデルフィアに移り住んで、初の「映像作品」である「吐き気を催す六人の男(Six Men Getting Sick)」(1967)を製作するあたりまで読み進みました。やっと「映像作品」を製作するところまでたどりついたわけでありますが、そもそも「フィラデルフィアは自分にとって重要な地である」というリンチの発言の意味が、遅まきながら、あ、ナルホドと納得できました。フィラデルフィアでリンチが住んでいた周辺がどのようなところで、そこで住んでいたときに何があったかは、たとえばインタビュー集「映像作家が自身を語る デイヴィッド・リンチ」の64ページあたりに書かれているし、発言集の「According to...David Lynch」にもわざわざ「Philadelpha」という一章が設けられているぐらいなわけですが、正直いってボンクラな大山崎は、それらの事件や事項がリンチ作品のテーマにどのような影を落としているか、Olson氏に指摘されるまで気がついてませんでした。

リンチが住んでいた周辺は「黒人少年が道端で頭を撃たれて死ぬ」というようなところで、つまり、前回触れた「無秩序で混沌とした外界」そのものなわけです。で、そこにリンチは妻のペギーや娘のジェニファーと住んでいて、車を盗まれるわ、二回も不法侵入を受けるわってなことが起きて、それって「外界」による「安全で統制された『避難所』」への「侵入」に他ならないということですね。結局、フィラデルフィア時代に起こったことは、最終的にリンチ作品のテーマのひとつである「人間の『内面』を表すものとしての『家』」や、頻繁に現れる「監視/侵入/追及」のモチーフにつながっていく……っていうことです。ある意味、前回の「広所恐怖症」の話といい、非常にわかりやすいハナシであるわけですが、こういう基礎的事項が押さえられているのといないのとでは、リンチ作品に対する理解度もそりゃ違うだろーよ、ってなもんであります。

「吐き気を催す六人の男」についても、いろいろ興味深いOlson氏の指摘があるんですが、それについては次回にでも。

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