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2008年5月 4日 (日)

「According to... David Lynch」を読む

チンタラ読み進めていたデイヴィッド・リンチ関連本「According to... David Lynch (a selection of his finest quotes)」をば、やっとこさで読了したので、とりあえずご紹介。

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タイトルを読んでのごとく、この本は、リンチが1976年から2007年の間にあちこちで発言した言葉を集めた「発言集」である。リンチ自身の発言が約380、それにプラス周辺人物によるリンチに関する発言がおよそ70余り収録されており、テーマ別に12章に分けられているという具合。

当然ながら、TVや新聞やら雑誌やらの取材時に、リンチ自身が実際に発言したものをそのまま引っ張ってきているわけで、「なんかそんなコトを喋ってたなあ」というウロ覚えのリンチ発言を確実な形で確認できるのは、とってもありがたい。このあたりはいわく言い難い部分があるんだけど、「ンなこと、言ってたっけか?」というような、出所が怪しい孫引き曾孫引きの「リンチ発言の引用」がネット上に氾濫してしまっているのも確か。もし、リンチによる発言をナニガシか作品理解の参考資料として使うならば、まずは正確な発言を押さえておきたいわけで、そーゆー時にこの本は役に立つ感じ。

ただし、「資料本」としてこの本をみたとき、リファランス部分が弱いのがちょっと気になるところではある。まあ、こういう類の本は、本当に企画あるいは編者次第で、作りが読者のニーズに合致していれば「いい本」であるわけだけど、外れていれば評価が変わってくるもんだと思う。まったく同じ発言を材料に本を作るとしても、たとえば年代順に並べるのか、作品別に並べるのか、あるいはまったく全然違ったテーマに沿って並べるのか、索引部分をどう作るのか……といった作り方の方針によって、本の性格が変わってしまうからだ。この「According……」についていうなら、どちらかというと編者であるHelen Donlonさんは「読み物」として読まれることを想定していて、資料的に使われることはあまり意識していないという印象を受けた。

そのあたりは、各章の「テーマ」設定にも表れていて、割と編者の感覚的なものに拠っている感じ。たとえば一番最初の章が「Philadelpha」であるのは、そこがリンチの映画製作の出発点であるから理解できるとして、その後の章が「Surrealism and Visions of Lynchland」だったり「American Gothic」だったり、かと思えば「Angels, Demons and Dream Interpretation」なんてな章があったりで、正直なところ、あまり一貫性を感じない。もちろん、こうしたテーマそのものがリンチの発言内容をもとに設定されているのは理解できるし、それがダメってわけではない。だけど、何かに関するリンチの発言をこの本で調べたいと思ったとき、ちょいと捜すのに苦労するのは間違いないのだな。さすがに各章の中では、ある作品に関する発言は一箇所にまとめられてはいるものの、たとえば「インランド・エンパイア」に関する発言をまとめてピックアップしようとすると、ページをめくりまくって全部の章をチェックしなければならないわけで、時間がないときはちょっとイラつく。どっちにせよデータ・ベース的に使うのであれば、紙ベースよりも電子ベースのほうが利便性が高いのは当然なので、この本の電子版が出てくれれば解決する問題ではあるのだけども…… 出ないですかね?(笑)

というような本の構成上のことはともかく、収録されている「発言」自体は、非常に興味深いものが混じっている。たとえば「マルホランド・ドライブ」に登場するカウボーイに関連して、ハリウッドにおけるカウボーイ俳優たちの独特のスタンスというか立ち位置について、リンチは触れている(P96-97)。もちろん、カウボーイ俳優自体が現在のハリウッドではほぼ絶滅していて、あるいはリンチにとって彼らは、フェリーニにとっての道化師たちと同等の存在であるのかもしれないと思ったり。となれば、「マルホランド・ドライブ」に現れるカウボーイに関しても、また違った視点からの解釈ができるかもしれない。

ま、そんなこんなを差し引いても、リンチに関する基礎資料として、この本が有用であることは間違いない。とりあえず各ご家庭に一冊、確保しておくのもおヨロシイんじゃないかと。

P.S. あ、残念ながら、「チーズはミルクから作られる」という発言は収録されていませんでした(笑)。

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