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2007年11月21日 (水)

「インランド・エンパイア」を観た(X回目) (25)

まだまだまだまだまだ「」と「」。

とまあ、そんなこんなで「ON HIGH IN THE BLUE TOMORROWS」は「ハリウッド・ブルバードにおけるスーの死」というクライマックスを向かえ、撮影を終了する。途中、クラブの裏通路に「赤いカーテン」「赤いドレス」というモチーフがそこに至る詳しい経緯とともに登場するが、この両者がもつ「物語展開の場=Mr.Kのオフィス」への誘導という機能について、改めての詳説はしない。

ここでまず取り上げたいのは、撮影が終了したあと、スー=ニッキーが「ステージ4」から「無人の映画館」に至る間に登場する「赤いカーテン」*(2:36:40)だ。このカーテンが、クラブの裏通路の「赤いカーテン」と同じ機能を果たしていることは、指摘するまでもないだろう。特筆しておきたいのは、この二つの「赤いカーテン」が、その出現の後に「階段」という「上昇のイメージ」を付随させていることだ。クラブからの上り階段は「Mr.Kのオフィス」に続き、「映画館」からの上り階段は「スミシーの家」へと続く。すなわち、模式図における「ストリート」から「家」への推移が、「赤」をキーとして喚起されている。

次に「赤」が提示されるのは、そうして至った「映画館の座席」によってだ。そこにスー=ニッキーによって「青い上着」が持ち込まれる。クライマックスの余韻のなかで、「ON HIGH IN THE BLUE TOMORROWS」の「青=心理的展開」と「赤=物語上の展開」は、こうして再び出会う。

映画館のスクリーンには、その通路に立つスー=ニッキー自身が映し出され、次に「Mr.Kのオフィス」でのスーが映し出される。この座席の「赤」もまた「物語展開の要請」を行っているのだ。その要請が「最終段階」であるがゆえに、続いてスクリーンに映されるのは、「『スミシーの家』のベッドルームにある箪笥から、何かを取り出すスー=ニッキーの姿」になる。この何かが何であるのかは、後のシークエンスにおいて明らかだろう。スー=ニッキーは、自分がなにを成さなければならないのか、この映像によって悟ったのだ。また、「映画館の階段の前に立つMr.K(とその映像)」によって、スー=ニッキーがどこに行かなければならないかも明確に提示される。

それらの示唆を得たスー=ニッキーが去ったあと、誰も居ない「赤い座席」の上に残される「青い上着」は、「ON HIGH IN THE BLUE TOMORROWS」の終結を物語る。「物語展開」と「心理展開」の両者は、ここで(当然ながらそこは「映画館」だ)最後の合致をみることになる。

だが、「映画館」の階段の上から射す「青い光」(2:39:00)、そして「スミシーの家」へと続く暗い通路を照らす「青い光」(2:39:13)が、「感情移入=同一化」の余韻がいまだ続いていることを提示している。「ファントム=映画の魔」が「ピストル=最終的な物語上の要請」によって倒されるまで、「ロスト・ガール=スー=ニッキー」をつなぐ「感情移入=同一化」の完全な解体は待たなければならないし、「受容者」「登場人物」「演技者」への再分化もまた待たなければならないのだ。

(この項、おしまい)

*この「赤いカーテン」の前に置かれている白い柱が、ロスト・ガールがモニターを観ている部屋にある柱(2:48:42)と類似した意匠であることも見逃せない。これは「TVモニター」と「映画スクリーン」の「受容装置」としての機能上の同一性を表わすものだと受け取れなくもないだろう。
また、この「赤いカーテン」のカットの直前、「ステージ4」の入り口に立つスー=ニッキーとロスト・ガールによる、モニター画面越しの「視線の交換」が行われるのを忘れてはならないだろう。ここで「受容者と演技者=登場人物」の間の、「観る者」と「観られる者」の関係性の認識がなされるのである。これは後の、映画スクリーンを介在させたニッキーとスーによる「視線の交換」、つまり「演技者と登場人物」間の「観る者」と「観られる者」の関係性の認識に引き継がれ、この三者間の「同一性=感情移入」は次第に解体されていくことになる。

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