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2007年11月12日 (月)

「インランド・エンパイア」を観た(X回目) (20)

んでもって、「」と「」である。

「インランド・エンパイア」に限らず、「ブルーベルベット」「マルホランド・ドライブ」「ツイン・ピークス」等々、この2種の色はリンチのカラー作品に頻繁に登場する。「機能しない家族」等と並んで、ある意味でリンチがずっと追い続けてきた、いわば根源的なモチーフのひとつであるといっても過言ではないだろう。それだけに、簡単な「言語による置き換え」を許さない部分であるのもまた確かだ。

たとえば「マルホランド・ドライブ」におけるブルー・キーとブルー・ボックスの扱いに関する限り、「青」という色は「異質さ」そして「そこに属さないもの」を表わすものとして、(そのテクスチャーと並んで)使われているようにみえる。それに対し、「ブルーベルベット」における「青いベルベット」は、(これまたテクスチャーとともに)父性と母性の関係性を成立させるものとして表れているのは明らかだ。「ツイン・ピークス」に表れる「赤いカーテン」というモチーフも、そのテクスチャーや揺れ動く「存在形態」とともに、「人間の内面」のある種の表出として捉えられるべきものなのだろう。

このように個別の作品における「色」の機能はある程度読み取れるものの、では作品間をまたいで共有されるものが明瞭にみえてくるかといわれると、なかなかそうではない。これらの色に関して、おそらくリンチのなかでは何か「根源となるイメージ」が確固として存在するに違いないと思われるのだが、それは非常に根源的なものであるがゆえに強度に抽象的であり、作品内における「解釈」の先にもうひとつ抽象化のステップがあるのではないだろうか。

さて、てな前置きを経て(笑)、「インランド・エンパイア」において興味深いのは、この「青」と「赤」が対置されるものとして表れていることだ。たとえば「Hollywood - Vine」の交差点での赤信号と青信号(2:24:11)、いずこかの映画館内部における赤い座席とそこにスーが放置した青い上着等々……だが、もっともそれが明確に現れているのは「スミシーの家」の内部においてだ。この家の内部には「青い光の部屋」と「赤い光の部屋」が並存している。角で隣り合った二つ部屋の内部から漏れ出る光が、それぞれ「青」と「赤」であるカットによって、それは明確に提示されている(1:14:23)。

いままでみてきた範囲で、「インランド・エンパイア」に登場する「対置される概念」としてまず挙げられるのは、「心理展開の要請」と「物語展開の要請」だ。この視点に沿ったとき、「青」が「心理展開」に対応し「赤」が「物語展開」に対応するという見方が、とりあえずの説得性をもって成り立つ。なぜなら、「青」は基本的に「心理展開の要請」に帰属する「ロコモーション・ガール」のシーンに関連して表れているのに対し、「赤」に関しては基本的に「物語展開の要請」に帰属する(Mr.Kを含む)「Rabbits」のシーンに関連して表れているからだ。

この「青」のトーンは、「ニッキー=スーとデヴォン=ビリーの混乱した情事」のシークエンス(0:56:20)、そして「ピオトルケとスーの同衾」のカット(1:15:250)にも適用されている。「ストリート」へとつながっていく登場人物=スーの心理状態の反映として、また「ON HIGH IN THE BLUE TOMORROWS」という作品の「心理展開の要請」そのものの反映として、あるいはそれに応じた演技者=ニッキーおよび受容者=ロスト・ガールの心理状態の反映として、「インランド・エンパイア」の「青」はまずは捉えられるべきものではないだろうか。

(この「落穂」でもって続く)

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