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2007年10月16日 (火)

「インランド・エンパイア」を観た(X回目) (8)

ここらへんで、「インランド・エンパイア」の作品構造について、思うところをちょっとまとめ。うまくいったらお慰み(笑)。

というわけで、なんとなく図式化してみたりなんかしました(笑)。クリックすると巨大化しますが、「弟よ~!」とかは叫びません(笑)。

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基本構造に関してまず述べなければならないのは、受容者(演技者(登場人物)) というネスティング構造で、これはいわば「インランド・エンパイア」の水平軸を構成している。それに対しクロスする形で描かれているのが、女性の目から見た「トラブル=機能しない家族」のモチーフ展開であり、これは垂直軸を成しているといえるだろう。

垂直軸方向の指標をたどると、下部に「ストリート」が存在し、その上部に「家」が存在することになる。基本的に、下部において水平軸において共有されるもののつながりは密であり、上部に向かうほど緩やかになっていて、ロスト・ガールやニッキーの各個の問題へと分化している部分が存在する。

まず「ストリート」だが、これは受容者=演技者=登場人物すべてに共通するものとして、全員が共有しているものだ。その「ストリート」が存在するのがポーランド・サイドであろうがハリウッド大通りであろうが関係なく、どちらの「ストリート」も等価である。たとえばスーが二人の「ロコモーション・ガール」に誘われてポーランドの「ストリート」に立つシークエンスに表わされるように(1:11:40)、最下部である「ストリート」ではポーランド・サイドとアメリカ・サイドは文字どおり通底している。「ストリート」は「ON HIGH IN THE BLUE TOMORROWS」という作品に対する彼女たちの「感情移入」や「同一化」の基礎構造を成すものであり、彼女たちが「トラブル」に遭遇したときにその意識のなかで最終的に喚起されるものだ。ここでは、垂直軸が下方に向かうほど「感情移入」が深まり、「同一化(Identification)」の度合いが進むと捉えている。つまり、下部に行くほどネスティング構造が強固に成立しているということである。

垂直構造の上部となっているのが「家」の部分である。前述したように「ストリート」の層との比較において、「家」の層では彼女たちが共有するもののつながりは緩くなり、個のレベルへと分化している部分がある。基本的にポーランド・サイドの「家」はロスト・ガールのものと捉えていいし、ニッキーの「家」はニッキーに属している(ニッキーの「家」もまた「トラブル」を内包している場所であることが、ピオトルケの視線(0:19:08)や、ポーランド人老夫婦との会話にならない会話シーン(0:34:00)において示唆されている)。ただし、演技者としてのニッキーがロスト・ガールによって一方的に感情移入されている以上、ニッキーの「家」もロスト・ガールによって一方的に共有されているといえるのかもしれない。

とはいえ、やはりこの「家」の層は全部ひっくるめて「機能しない家族=トラブルの抽象概念」として捉えられるべきものであり、そういう意味では「ストリート」と同様に、この層においてもポーランド・サイドとアメリカ・サイドは等価だ。ロスト・ガールたち個々の「トラブル」は、この抽象概念に内包され、その概念そのものを構成する「部品」である。逆に、「スミシーの家」がスーやニッキーだけでなくロスト・ガールによっても最終的に共有されるがゆえに(2:49:38)、スー単独の分化した「家」は存在しない。

ドリスや、ポーランド・サイドにおけるロスト・ガールの浮気相手の妻においても、同様に「家」と「ストリート」の垂直軸が描かれていることも指摘しておかなければならないだろう。「スミシーの家」こそ共有していないものの、彼女たちもロスト・ガール=ニッキー=スーと同じ「トラブル」を抱えていることが描かれ、この垂直軸が「抽象的なもの=一般的なもの」であることを補足している。

さて、では、これに「ロコモーション・ガールたち」や「ファントム」や「ウサギたち」はどうからんでくるのか?

(続いたりなんかして)

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