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2007年8月 2日 (木)

「映像における表現主義」のこととか

えー、ものはついでで「映像における表現主義」について、ざっとおさらいなんか。

そもそもは1920年頃に現われた「ドイツ表現主義映画」というのがそのスタートになるわけだけど、じゃあこの時期にドイツで作られた映画のどれが表現主義映画かとなると、実は人によってバラバラだったりする。ヴィーネの「カリガリ博士」(1920)は鉄板として、ムルナウの「吸血鬼ノスフェエラトウ」(1922)あたりはともかく、同じくムルナウの「最後の人」(1924)やラングの「メトロポリス」(1926)までもドイツ表現主義映画に含める人までいるくらい。

ま、このあたりは「作品全体を通して表現主義的な手法で描かれているものだけに限定」して考えるのか、それとも「一部にでも表現主義的な映像があればその範疇に入れる」と考えるのかの違いであるように思う。コア作品と周辺作品の関係ちゅうヤツでありますでしょーか。

個人的には、「ドイツ表現主義映画」と限定して呼ぶ場合は、前者の定義に従うのがどちらかといえば納得がいく感じ。この定義に従うなら純粋な「ドイツ表現主義映画」と呼べる作品は、「カリガリ博士」、「ゲニーネ」(1920)、「朝から夜中まで」(1921)、「裏町の怪老窟」(1924)等の一握りの作品しか存在しないということになる。それにつけても、現在、日本で手軽に実際の映像を観る機会があるのは「カリガリ博士」ぐらいなものだというのは、ちょいと不幸なことかもしんない。どっか酔狂な会社が他の作品も500円DVDで出したりしませんでしょーかね(笑)。

んじゃ、「最後の人」とか「メトロポリス」とかはなんなんだっちゅーと、「映像による表現主義」が普遍化し、リアリズムを基調とした映画のなかに混在して用いられるようになる過程の作品……というのが個人的な捉え方であります。つまり、登場人物の心理描写が必要になったときに、ワン・ポイント的に表現主義的な映像が使われているということですね。「最後の人」で主人公に向かってホテルの建物がぐももももーんと傾いて迫ってくるシーンとか、「ヴァリエテ」(1925)で目玉がいっぱい多重露光でべももももーんと現われるシーンとかはそーゆー例なんじゃないかと思うわけでありますが、どんなもんざんしょ。

lastlaugh

でもって、最終的にこうした映画の製作にからんだドイツ人スタッフがナチスを逃れて外国に渡り、めでたくハリウッドも「表現主義的映像」の方法論を手に入れた……という流れなんじゃないかと推察する次第。実際は「カリガリ博士」の公開直後、各国でひょこ歪んだセットを使った映画がパラパラと作られたみたいだけど(溝口健二の「血と霊」(1923)とか)、どこまで表現主義的な手法に対する本質的な理解が得られていたのやら、怪しいものも混じっていた感じではあります。セット傾けてりゃ表現主義だっつーもんでもないぞっちゅうことですね。聞いてるか、エド・ウッド(笑)。

詳細に検討したわけではないので間違ってるかもしれないけど、「映像における表現主義」は少なくとも1940年代にはハリウッド映画を含めて、ごくフツーに使われるようになっていたというのが自分の印象。で、以降、いかにも「表現主義でございッ!」ってな感じの表現主義的映像が次第に姿を消し、 非常にさりげなーく何気なーく使われたりするようになり始める。言い換えれば「浸透と拡散」「普遍化と常套化」が達成され、 映画がまたひとつ「表現の幅」を広げた……ということになるわけでありますね。

んで、デイヴィッド・リンチの諸作品における「表現主義的映像」もまた、その多くがこの「スティルス型表現主義」 (笑)に類するんじゃねーのと思ってたりするのでありました、はい。

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