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2007年7月 5日 (木)

「Rabbits」を観る

「Rabbits」は、2002年からデイヴィッド・リンチの公式サイト上で公開された、全9エピソードからなる連作短編である。現在では公式サイトでの公開は終了しているが、これは「インランド・エンパイア」でその一部が使われ、単独作品としての意味を失ったとリンチが判断したからではないか…… というのが個人的な推測。

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先日、パリでの作品展にあわせてリンチの作品集「The Air Is on Fire」が刊行されたが、これに収録されている絵画や写真には製作年の表記がほとんどない。映像作品等に同一のモチーフが使われているケースがあり、そこから逆に絵画等の「意味」を類推されるのをリンチが嫌ってのことだという。

おそらくだが、「Rabbits」についても同じような理由で公式サイトから削除された可能性がある。同様にこれまた「インランド・エンパイア」の随所に登場している「Axxon N.」も、結局単独作品としては発表されないまま公式サイトからタイトルが削除されている。ひょっとしたら、この二作品を当初の形で観ることは、(正式には)もうできないのかもしれない。

それはさておき、公開されて以来、「Rabbits」に関しても「こりゃ、ナニよ?」という議論が向こうのリンチ・ファンのあいだで沸き起こった。三匹のウサギたちの関係についてなかなかに想像たくましい意見が交換されたが、なかには「問題を抱えた夫婦たち」などといういかにもリンチ・ファンらしいダークな見方があったりもした(笑)。

そんななかで、「一見つながりがなく無意味に思われるウサギたちの会話だが、ひょっとして順番を入れかえれば意味が通るのではないか」というチャレンジがあった。その労作の結果がここにあるのだが、なるほど、確かにこうしてみると会話として成立しているように思える。

これをみて思いだしたのが、「爆発した切符」や「ノヴァ急報」といったウィリアム・S・バロウズの小説作品だ。記憶違いでなければ、バロウズはこれらの作品を書くにあたって何台かのテープレコーダーを使い、あらかじめ録音したストーリーをランダムに再生してはそれを書き取ることにより、コンテキストが崩壊した文章を書いた……あれ? これはJ・ G・バラードのコンデンスド・ノベルのほうだっけ? まあ、同じようなもんだからいいや(笑)。リンチがそうした小説作品の手法を意識したのかどうかは知らないが、とりあえず手法として共通項がある可能性だけ指摘しておく。

昨年、Avid社が自社の映像編集ソフトのパブリシティとして「ROOM TO DREAM」というDVDを無償配布したことがあった。そこに収められたリンチ製作の短編でも、この「成立しない会話」という手法は使われている。また、さかのぼれば、初期の短編である「切断手術を受けた人」(1974)や「カウボーイとフランス男」(1989)も、この系統に属するといえるのかもしれない。

はたしてこうした手法は、「アルファベット」(1968)にみられるような「言語」に対するリンチのコンプレックスの表れなのか。はたまた「言語による意味の限定」を嫌うリンチの「言語」に対する復讐なのか。まだまだ興味は尽きないが、残念、時間切れである(笑)。

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