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2007年7月 1日 (日)

「インダストリアル・シンフォニー#1」を観る

「インダストリアル・シンフォニー#1」は、デイヴィッド・リンチが手がけたライヴ・パフォーマンスである。 1989年の10月にブルックリン・アカデミー・オブ・オペラ・ハウスで上演された。リンチ作詞アンジェロ・バダラメンティ作曲の楽曲の数々がジュリー・クルーズの歌によって披露されるが、そこはやはりリンチらしい演出が入り、単なるステージ・ショーではない文字どおりのパフォーマンスとなっている。

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Martha P. Nochimson著の評論集「The Passion of David Lynch」によれば、ソフト化されている映像はリンチによる編集がなされているということだ。たとえば、冒頭にある「ローラ・ダーンとニコラス・ケイジの電話による会話」はソフト化の段階で付け加えられたもので、舞台での公演時には存在しなかったらしい。また、出演者だったマイケル・アンダーソンの証言に基づけば、ステージ場面の映像自体も、その日行われた4回の公演の録画素材をつぎはぎして編集されているのだそうだ。

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この追加されたオープニングは、サブタイトルである「The Dream of the Boroken Hearted」とあわせて、リンチによる舞台演出の全体構造を理解するうえで重要なキーになっている。つまり、ステージの上で繰り広げられているのは、ケイジ演じる男性に別れを告げられたローラ・ダーン演じる女性のみる「夢」、つまりは彼女の「心象風景」であり「意識の流れ」であって……

……となると、なんのことはない。要するに、「ロストハイウェイ」や「マルホランド・ドライブ」といった映画作品と同じ事を、「歌つき舞台公演」としてやっているわけだ。そうなるとステージ上で繰り広げられるジュリー・クルーズの「浮遊」や「墜落」は、そうしたコンテキストのうえで理解できるような気がする。

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もうひとつ指摘しておきたいのは、人形を投下する「爆撃機」が登場するが、これと同じモチーフのリンチの絵が存在することだ。つまり、アイデアのフラグメントを集め、なんらかの横糸でまとめて作品として仕上げるという方法論は、「インランド・エンパイア」から大きくさかのぼる「インダストリアル・シンフォニー#1」においてもみられる、ということになる。

話を戻すと、公演のなかほどで、今度はマイケル・アンダーソンの朗読によって、ダーンとケイジが交わした「会話」が繰り返される。ライヴでステージを観た観客に対する「全体構造の提示」はその朗読だけだったということになるが、それではわかりにくいと判断したリンチが件のオープニングを付け加えたのだろうか? とりあえず今のところ、それを裏付ける証言などはないようだ。

しょーもないことなんだけど、手術台から起きあがって舞台をうろつく「鹿男」は、DeerとDearの駄ジャレだったり…… しないよね?(笑)

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